今日は久々の歌舞伎を観に日本橋三越に行った。駐車場に入れる
のに遠回りした為、開演10分前になんとか三越劇場に到着。三越
劇場は日本橋三越本店の6階にあります。初めて来たけど、噂通り
のイイ感じの狭さとモダンな創りに圧倒された。豪華な大理石
張りに天井のステンドグラスと彫刻が施された壁が綺麗でキョロ
キョロと辺りを見渡すおのぼりさん状態。生意気にも2階席まで
あった。なかなか面白い小屋でございますこと。

早速パンフを購入し、あらすじを追う。なんせ歌舞伎は今年1月の
新春浅草歌舞伎以来。獅童くんが歌舞伎の舞台に立つのが浅草
以来なもんですからね…期待半分、不安半分ってところでしょ
うか。座席を取り払い、強引に下手側に花道が作ってあって、
私の席の前が花道というなかなかオイシイ席でした。いざ開演。

一幕は『双蝶々曲輪日記〜角力場』。獅童くん演じる関取・濡髪
が片岡愛之助さん演じる与五郎と市川亀治郎さん演じる遊女・
吾妻の恋を取り持とうと苦悩していると、吾妻に侍から身請け話
が持ち上がり、侍が肩入れしている素人上がりの力自慢の若者・
放駒(愛之助さん二役)との取組で濡髪がわざと負けて花をもた
せておいて、取組後に吾妻を譲って欲しいと放駒に頼む。しかし
放駒は勝負の真意を知って立腹して一触即発の危機になる…と
いうお話。

獅童くんの濡髪は力士ということもあって顔の小さな獅童くんの
倍はあろうかという大銀杏のヅラに厚くて重そうなかいまきみた
いな着物に高下駄姿で小さな相撲小屋の出入口からゆっくりと
登場してきた時の迫力は圧巻だった。結構華奢だから動くのも
相当大変だと思われるんだけど自然な感じで頑張ってましたね。
ただ貫禄の部分がちょっと足りなかった気がした。今日で二日目
だし、演っていくうちに余裕が出て重厚なオトナな雰囲気が身に
付いてくるだろうと期待はしておりますが…

愛之助さんの二役は実に面白かった。ボンボンの与五郎役の時は
ちょっとだらしなくて甘いんだけど憎めない若旦那って感じが
よく出てて品のある男前っぷりがステキでした。数日前に三越
歌舞伎の宣伝で生番組に獅童くんと亀治郎さんと愛之助さんが
出てたんだけど、それで初めて愛之助さんをちゃんと見て男前
なのにビックリしたんだよね。獅童くんのお陰で今まで知らなか
った役者さんや場所、演目に出会えてホントに幸せですわ。

放駒は与五郎と違ってキビキビした役で、それもハマってたので
愛之助さんの実力は充分に感じました。二役ってことの早替わり
の面白さもありました。花道の間近の席だったこともあり、裏に
引っ込んだ途端に衣装を脱ぐ衣擦れの音とかが聞こえてきたり、
幕の隙間から見え隠れする裏方さんの足などを見ながら舞台裏の
ドタバタを想像したりして、タイミングよく登場する愛之助さん
の姿に余計に感動しました。

亀治郎さんの吾妻役は安心して観れました。って出番は少なかっ
たけど、女形は相変わらず綺麗で色っぽくて素晴らしかった。
ホントに若いのに品のある役者さんですね。

休憩を挟んで二幕は『弁天娘女男白浪〜浜松屋店先より稲瀬川
勢揃いまで』。呉服屋に亀治郎さん演ずる美しい武家娘と獅童
くん演ずる供侍がやってきて、娘は万引を見つかって番頭に額に
傷を受けるんだけど、万引したとされた品には別の店のしるしが
あって怒った供侍が番頭を許す代わりに金を受け取ろうとすると
店の奥から愛之助さん演じる武士が登場し、娘が男だということ
を見破る。実は娘は弁天小僧で、供侍は弁天の弟分の南郷力丸。
駆け引きの後、二人は金を持って帰っていくんだけど、実はこの
武士が盗賊の首領・日本駄右衛門で、やがて様々な悪事を重ねた
駄右衛門も次第に追っ手に追いつめられて、市川亀寿さん演じる
忠信利平と尾上松也さん演じる赤星十三郎も合流して稲瀬川で
白浪五人男が勢揃いする…というお話。

獅童くんの供侍は袴を短くたくし上げた姿で登場したんだけど
足の細さと品のあるスネ毛の生え方にメロって顔よりも足を凝視
してしまった。生々しい足を間近で観たのが初めてだったから
とても新鮮だった。一幕の濡髪とは違って従順な感じの侍の役も
なかなかよかったです。

亀治郎さんの娘〜弁天小僧までの変わり様もよかった。娘は娘で
楚々としてハマってたし、そこから男とバレた時のいなせな感じ
も面白かった。獅童くんとのやりとりの中で客席に降りてきて
展開する場面があって、アドリブっぽい台詞もあって間近で客を
楽しませようとする演出が効果的で客席から笑いが上がってまし
た。狭い小屋ならではの遊びですよね…愛之助さんの駄右衛門は
一幕までの男前さは消え、貫禄充分の悪役って感じが出てまし
た。

白浪五人男が勢揃いした時は着物の華やかさや名文句に引き込ま
れて心底楽しめました。亀寿さんと松也さんは初めて観ました
けど、やっぱり若さ故の力不足を若干感じてしまいました。でも
松也さんはかなり男前で今後に期待したいです。こうやって次々
と若手が継承して歌舞伎を存続させてきたんだものね。獅童くん
を観て「まだまだだな…」って思う気持ちもありつつ、更に若い
役者さん達を観て「獅童くんの方がまだ上だわ…」って思うと
更に獅童くんを応援していきたくなる衝動にかられますね。まだ
まだ新参者ですが、いちおうご贔屓さんなんで!

まだまだ歌舞伎は難しいってやっぱり思うけど、あらすじをおっ
て贔屓の役者に注目して集中して観れば充分楽しめることを改め
て実感しました。特に獅童くんの場合、とっつき易い演目に出て
るんだと思うのね。久々の歌舞伎鑑賞だったけどホントに楽しか
ったっす!

終演後、気分が高揚したので地下食で両親と兄貴の一家にお土産
のシュークリームを購入。ウキウキ気分で駐車場から出ようと
パーキングビルの5階からグルグル回らされて「結構擦った跡が
あるな…」と各階の柱を見ながら悪い笑顔をしていると3階辺りで
鈍いガリッという音がした。マジ!?

今日はパパ車で来たので車幅が愛車より広いことをすっかり忘れ
ていた。後で見たらバンパーを軽く擦ってました。でも歌舞伎が
楽しかったからいいっか…って、オヤジにどう言おうかしら!?
楽日も観るんだけど、楽日は愛車で来ようと思いましたとさ。

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