今日は山の手事情社20周年記念公演『Yamanote 7481〜jamゴール
ドブレンド』を観に青山円形劇場に行った。山の手の代表作3作品
を一挙に公演するという趣旨なんだけど、私は山の手の公演を
今まで観たことがなく、お気にの役者・清水宏さんが出るからと
いう理由だけで『jamゴールドブレンド』のチケットを購入したの
でした。山の手はかつて清水さんが所属していた劇団なんだけど
実際に山の手の舞台に立っている清水さんを観たことがないので
どんな感じなのか非常に興味を持っていた。いざ開演。

まずは落語の柳家花緑さんが登場。10演目の中から客が指定した
落語の一席を喋るという。とは言え、既に4公演を終えていて同じ
演目は選べないので選択肢は6演目なんだけど、最前列の男の客が
指定した「出来心」という話を喋ることになった。椅子に座って
衣装もポップな感じで全く落語を聴く雰囲気ではないのが逆に
面白かった。やはり血筋なんでしょうか、とても聴きやすくて
ストーリーに引き込まれていきました。時々喋り方とか声のトー
ンとかが清水さんに似てて好きになりそうになりましたが「きく
姫がいたんだっけ…」と思ったら気持ちは萎えました。

落語の次は劇団員が登場し、演出の安田雅弘氏の解説で「歩く」
という動作だけでも様々な感情を表現出来るということを実際に
見せてくれました。目線や姿勢、動きの速度で感情の違いが表現
出来るのにはビックリ。「喜怒哀楽」を安田氏のカウントで次々
に表現していくというのも圧巻でした。山の手の独特なトレーニ
ングのひとつらしいのですが、恥ずかしさを取り払い、柔軟な
表現力を身に付けるには必要なようです。真似出来ないな…と
思ったら役者ってゴイスだなって思いましたよ。

安田氏の解説にスライドするように清水さんが解説を始め、役者
に無理難題を強いるという形で次の展開が始まりました。キ○ガ
イパワー炸裂って感じで「ホゲ〜」とか「ウゲ〜」とか「ドロド
ロドロ〜」とか擬音だらけの清水さんの指示に戸惑いながらも
必死に従っている劇団員の姿に爆笑でした。ホントにくだらない
ことを汗ビッショリで強いてる清水さんの姿もたまらなかった
ですけどね。

その後は客席からお題を頂いて、くじ引きで3グループに分かれて
即興の芝居を作って披露するというコーナーになりました。お題
は「オレオレ詐欺」「アメリカ大統領選挙」「20周年」。15分の
休憩の間にストーリーを作るんだとか。照明を落とした舞台上で
若い劇団員達と相談している清水さんの姿を眺めながら休憩時間
を過ごしました。

休憩明けは山の手のトレーニングのひとつである「ものまね」が
披露されました。これは普段の生活の中で気になった人をデフォ
ルメして演ずるというもので、観察力・洞察力を養うようです。
病院の先生と新聞勧誘員のそれぞれを一人芝居で演じたんだけど
細かいディテールとかがしつこくて結構ツボだった。

で、即興芝居になった。サスペンス仕立ての作品あり、オーディ
ション風景から話を展開させるものありでお題の捉えようが様々
で面白かったな。清水さんのグループはアキバ系の男のグループ
って設定で、やたらと「もえ〜、もえ〜」と連呼するのに大爆笑
だった。無理矢理髪を七三にしてたのも芸が細かいなぁ…もう
少し深くお題をストーリーに盛り込んで欲しかったかなと思う
のは15分の間では酷か!?

最後は「ルパム」という誰かが言った台詞にドンドンのっかって
話を展開させるという即興芝居で、探り探りの者もいれば、後先
考えずに問題提起の台詞を言う者もいて、それでも話の流れを
止めることなく進めていかなくてはいけないからフォローしよう
とする者もいて実にスリリングだった。強引な流れもあったけど
追い込まれた時にでも台詞がスラスラと出てくる役者さん達の姿
にただただ感心するばかりだった。頑張っている若手を見守り
ながらフォローの流れを作っていた清水さんの姿も新鮮でよかっ
たですわ。ただのキ○ガイじゃないんだよね〜。

役者の基礎がどうやって作られていくのかを表現したこの公演は
ホントに興味深かった。普通に芝居を演ると思ってたから正直
面食らったけど面白かったわ。でも残念なお知らせは山の手の
劇団員に興味がなかったことかな。清水さんが出てなかったら
たぶん観ない傾向の劇団のような気がしました。でも今まで観た
ことのなかった清水さんの姿を観れて良かったです。なんか繋が
りって面白いなと思った1日でした。

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