今日は『新春浅草歌舞伎』の第2部の楽日を観に浅草に行った。
座席で直江嬢と合流し、いざ開演。今日のお年玉年始ご挨拶は
亀治郎さんでした。楽日まで足を運んでくれた客への感謝の言葉
もありつつ、具体的に例を示してマナーを説いていたのは笑った
な〜。前々から歌舞伎を観に来ると気になっていたのが私語だっ
たり、咳払い&クシャミ、携帯の音だったり、コンビニ袋がシャ
カシャカしたり、お菓子の袋がガサガサしたりという雑音で、
ただでさえ物語に集中しないと理解出来ないのに、その集中を
妨げられるのは非常に腹立たしいわけです。

紋付を着た亀治郎さんの懐からコンビニ袋が出てきたり、飴の袋
が出てきたりして実際に雑音を出して「折角の楽日ですからこう
いう音は止めて頂ければ役者も頑張れますので…」と冗談交えた
優しい語り口で注意を与えて下さったのは有り難かったです。
これだけ解かりやすく説明してるんだから普通の感覚の人なら
気を付けてくれるだろうと思って安堵感で一幕を迎えました。

一幕は『仮名手本忠臣蔵〜五段目・六段目』。1部の時の配役を
変えて勘平を勘太郎くん、おかるを七之助くんが演じていて正直
体型などを考えてもこの方がしっくりきた。勘太郎くんの女形も
充分見れるけど、やっぱり七之助くんの方が色気があっていいん
だよね〜。亀鶴さんが演じてた定九郎を獅童くんが演ったんだけ
ど、間違って勘平に銃で撃たれた時に口から血のりを吐いてて
亀鶴さんの時にはなかった演出だったので「?」と思った。

後で直江嬢に聞いた話では屋号によってその場面の演出が違うん
だとか。獅童くんの萬屋では血のりを吐くのが決まりらしく、
亀鶴さんの八幡屋では吐かないのだろうとのこと。実に深いっ。
こういう細かいことを調べるのは嫌いじゃないので本当なら追求
したい気分なんだけど、素直に歌舞伎に傾倒出来ない器の小さい
人間なんで仕方ないっす。衝撃的な新たな歌舞伎役者との出逢い
があるか獅童くんが離婚するしか道はないと思うんでね…

二幕は『蜘蛛絲梓弦』。病に伏せっている勘太郎くん演ずる源
頼光を警護する獅童くん演ずる碓井貞光、七之助くん演ずる坂田
金時に頼光の命を狙う亀治郎さん演じる女郎蜘蛛の精が次々と姿
を変えて現れて翻弄するというストーリーで、亀治郎さんの早替
わりと蜘蛛の糸をあざやかに繰り出すところが見所とのことで
すごく楽しみにしてました。

簡単に騙されてしまう貞光と金時の滑稽さも面白かったし、亀治
郎さんの男役・女役問わずの早替えも見事だったし、花道に照明
が当たったのでそこに目をやっている間に全然違う所から登場
したりする演出も楽しかったし、飽きることなく一気に観れて
しまいました。ただ蜘蛛の糸を繰り出し過ぎて、途中で有り難味
がなくなったは残念でしたが…糸を繰り出した後にその糸をクル
クルっとまとめて処理してハケていく裏方さんの姿に感動しまし
たけど、その姿が長州小力とオーバーラップして「小力を雇った
らエエやん!」と全く伝統を無視した考えが浮かんだのに絶句。
まだまだ勉強せなアカンな…

終演後、楽日恒例の役者のご挨拶になりました。昨年の浅草歌舞
伎の時にも触れたと思うけど、亀鶴さんが舞台上で玉袋筋太郎
さんに見えて仕方なくて、パンフの写真を見ると全くそうでは
なくて、でも今年もその思いは消えなくて「白塗りしてるから
かな?」と思ってたら、紋付姿で素顔で舞台上に登場した亀鶴
さんは玉ちゃんにクリソツでした!なんだ〜素顔が似てるんじゃ
ん!!私の疑問は解明されました。それから玉ちゃん以外に見えな
くなったは他でもありませんが。

大役を演じ切った亀治郎さんがはしゃいだ感じで舞台を所狭しと
移動しながら頭を下げていたのとは対照に獅童くんが抑えた感じ
で客席に目を配ってるのがオトナっぽいんだけど「もう守りに
入ってるキャラかよ!」って軽くイラっとしました。こんな状況
では誰よりもはしゃいでた人だったから、そんなにキャラを変え
なくても…と思ってしまうのはわがままかしら!?守る妻子が出来
たらキャラも守るんかいっ!守るモノがないから感覚わからへん
も〜ん!!(←自虐)

なんだか色んな想いがあった今年の浅草歌舞伎でしたが、公会堂
近くのもんじゃ焼き屋さんで旨いビールを飲みながらもんじゃを
食べたらすっかりリセットされた気がした。来年も必死で11時
開演の1部に間に合うように公会堂に向かう自分の姿が想像出来て
ちょっと笑えたよ。更なる新しい試みを期待して来年の歌舞伎
観劇を楽しみにしておりまする。

因みにあんなに丁寧に注意してたのに直江嬢の隣りのオンナの
携帯が上演中に鳴ったんだよね〜。なんでこんなに基本的なこと
が守れないんだろう…今年初めて人に対して心底「死ねっ!」と
思いましたとさ。今年が始まって26日しか経ってないのにね…
前途多難。

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