野田地図第12回公演『ロープ』@シアターコクーン。
今年の観劇初めは『ロープ』でございます。と言っても既に
昨年の12月6日に観てるんだけどね…愛しの三宅さんが出るの
と野田作品は難解なのでおバカさんの私には1回じゃ理解出来な
いと思い2回観ようと決めたんだけど、初見で「これ2回観るのは
キツイな〜」と思う程に観終わった後の疲労感がハンパじゃなか
ったから多少気が重いまま、尚仲間の淑乃さんと会場前で合流し
座席に着きました。

野田さん演じるディレクターを慕うADの役が三宅さんで、野田
さんの奥さん役が渡辺えり子さんという3人でのシーンは結構笑え
たりするんだけど、本筋の宮沢りえさんと藤原竜也くんが絡んで
くると全然笑えなくなってきて、ただ単に残酷なシーンを実況
してるだけの宮沢りえさんの台詞にゲンナリしていくというか、
嫌なビジョンから自分を守るので必死になっていました。

タイトルの『ロープ』はプロレスのリングのロープで、プロレス
の戦いと戦争をリンクして表現していくわけなんですが、宇梶
さんの悪役レスラーは納得いくんだけど藤原竜也くんのプロレス
ラー役は強引過ぎないか!?と思いました。あまりにも華奢なんで
すけど〜。他に肉体派で演技力のある役者も居ると思うんです
けど〜。設定とか展開とか落しどころとかが絶妙だっただけに
悔やまれたかな。まあ野田さんのことだから敢えて藤原くんに
したのかも知れないんで、その狙いが解からない私がおバカさん
なんでしょうね。

入国管理局ボラ役の中村まことさんは何度か観た舞台に出演され
てて、ちょっと気になる役者さんだったんですけど冷徹な感じの
中に笑いが取れる演技が今回も良かったですね。ふと考えたのは
「この役なら清水さんでもいいかも…」ってことでした。冷静に
狂える人に弱いのかも!?って常日頃狂っている人には夢中になり
ませんけどね。

見知った役者の新感線のじゅんやカムカムミニキーナの松村さん
の出演は観てて安心するシーンでした。確実に笑いも取れてスト
ーリー展開のキーパーソンにもなり得る腕を持ってるから出てき
ただけでワクワクさせてくれました。

細かな役者の評はいいとして、作品自体は簡単そうでやっぱり
難しかったかな。2回観ても本当に野田さんが表現したかった全部
を理解出来たかは自信がないです。世界史に弱い私でもピンと
くる「ユダヤ人」とか「ベトナム」とかってキーワードに辛うじ
てついていけただけって感じがするな。

ただ『透明人間の蒸気』の時にも感じたことなんだけど今回も
舞台の使い方が実に巧妙でした。リングの床が斜めになってて、
それが回ることで低い箇所が正面にきてる時と高い箇所が正面に
きてる時との印象が全然違うから非常に面白かった。役者の立ち
位置とかも計算されてて、リングの上と下でのそれぞれの役者の
役回りの対比とかがとても解かりやすくて飽きなかったのは確か
かも。なんだかんだ言っても野田秀樹ってゴイスですな。

ぶっちゃけちゃうと「三宅さんの役は三宅さんでなくても良かっ
たのでは?」と思ったけど、三宅さんにとっては初の野田地図
参加だったから経験として演ってみたかったのかな〜と理解して
楽日まで頑張って!とエールを送っておきましょう。

終演後、やはり淑乃さんは多少ゲンナリした御様子でしたが楽し
んで頂けたようで何よりでした。次は同じ日に新感線を観るので
「またね〜」と言って別れました。2回目にしてなかなか心地良い
疲労感に変わった野田地図…やっぱり奥が深いっすわ。

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